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どうやら佳境に入って参りました、ここまで続くと正直思わなかった⑤です。
タイトルどおり♂×♂なので苦手だったり将臣や知盛にNLとして心酔している乙女は回れ右。
熊野から戻って色々あって(割愛)いきなり船上(壇ノ浦決戦前夜)です(苦笑)
今回は愛しさと切なさと心・・・(ゴホゴホッ
・・・困りました。このままだと⑥は完全に裏です。
しかしblogに堂々と放置は如何なもんかと。
いっそメール配信か…URL請求制にするか…pass?
こんな拙い文の裏なんて見たいという奇特な方はいるんでしょうか?(マジ疑問)
御意見お待ちしております。
って、御一方は聞かずとも解っております。読みたいですよね、裏(笑)
興味のある方だけ続きをどうぞ…
***** 将臣side *****
(今夜は・・・満月か。)
船上で夜空を見上げながら思う。
きっと俺のいた時代では、ここまで見事な月は拝めないだろう。
舟板の上に月明かりの影が映る。
ギシッ
「・・・寝るんじゃなかったのか?」
尼御前や帝と共に別船へと行ったはずの知盛が戻ってきた。
「・・・このように、月が輝く夜に・・・どうして寝てなど、おられようか。」
驚いた。
まさか知盛の口から"眠ってられるか"的な発言を聞くとは思わなかった。
俺の反応は無視し、船の縁に背を預け片手を海に浸した。
「なぁ。」
沈黙を破ったのは、俺。
「怖くは、ないのか?」
普段から何を考えているのかさっぱり解らない知盛。
コイツは・・・何かを怖いと思うことがあるのだろうか?
「クックックッ・・・戦か?死ぬのが、か?」
口元に指を当て、面白そうにこちらを見る。
どうやら今夜の機嫌は上々のようだ。
「あ~・・・いや、質問変える。 "怖いもの"って何だ?」
珍しく考える素振りを見せ、海に視線を落とす。
波に手を当てながら海を見つめる知盛が・・・
「っ・・・知盛」
「・・・飛び込むとでも思ったか?」
「・・・いや、ただちょっと・・・」
そのまま、夜の波に溶け込んでしまいそうな錯覚に陥った、なんて言ったらお前は馬鹿にするんだろうな。
「・・・"忘却"。」
一瞬、何の事かと聞き返そうとして・・・思い当たった、さっきの質問。
「怖いというより・・・哀しい、か。」
しかし、と珍しく知盛が言葉を続ける。
「俺は・・・忘れられるような刻み付け方は、しない。」
ふっと足元の影が濃くなり、顔を上げるといつの間にか知盛が立っていた。
差し伸べられた指先が頬に触れる。
冷やりとした指先が耳に触れ、知盛には見えないはずの八葉である証の青い石に触れた。
「・・・守り、か。」
息を呑んだ。
あの知盛が・・・
安堵したように。微笑んでいたのだから。
***** 知盛side *****
耳殻をなぞる指先に何かが触れた感覚。
冷やりとして硬質な・・・ しかしそこには何もない。
「・・・守り、か。」
(お前は、戦いで命を落とすには不似合い・・・そのまま歳を重ね・・・好いた者と、守り守られ・・・添い遂げるが似合う)
妙に確認めいた想いが浮かぶ。
我知らずと表情に出ていたらしい。
だが同時に、自身でも気付かぬくらいの奥底に刺さった棘。
目前にいる将臣が呆然とこちらを凝視している。
「・・・何だ。」
「っいや・・・今、一瞬微笑ったように見えたから・・・錯覚か・・・っ」
自ら、静かに口唇を重ねる。
重ねただけの一点が、熱い。
「っ・・・」
俺の腕が強く引かれ、腰を落とすと背後から熱が蔽ってくる。
「・・・何で、今なんだよっ・・・」
肩口に額を付け、呻くような声。
「・・・時が、満ちた。」
「解らねぇよ!"時"って何だ!これからだって・・・一緒だろうが!」
微かに震える背後の身体、それを打ち消すように俺に回す腕が強くなる。
「将臣、お前は・・・知っているのだろう? 平家の・・・いや、ここにいる全ての者の命運を。」
「知るかよ!俺がいた世界とここは別の世界だ!筋書き通りでたまるか!」
("筋書き"か・・・)
「将臣、俺の邪魔は・・・するな。」
「っ!」
「・・・俺が負けるとでも?」
「お前は強い・・・けど・・・冷てっ!」
回された腕に手を重ねる。
先ほどまで海に放っていた腕は、思ったより冷えていたらしい。
そのまま背後に、身体を預けた。
「お前の熱を・・・俺に寄越せ。」
この熱さが、今自分が此処に生きていることを自覚させる。