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将臣sideと知盛sideが入り乱れです;
もしかするとこれから加筆修正するかもしれませんが・・・
時代背景等は、まるっと無視状態です;素人なので間違った部分がありましたらごめんなさい。
興味のある方だけ続きをどうぞ…
” ザンッ ”
背後で何かが海に落ちる音かした。
『知盛ーっ!』
声に振り返ると、驚愕の表情で水面を見つめ震える望美。
近くにいた譲の肩を掴み告げる。
「後、頼んだぞ。」
「兄さん!?」
譲の言葉を背に、鎧を外し刀を片手に・・・将臣は海へ身を躍らせた。
視界の先にはゆらゆらと揺れる水面と船底。
それも次第に遠ざかっている。
通常の鎧よりも軽いとはいえ、やはり海の中では重量を増す。
やはり、神子と刀を交えて良かった。あれ程の高揚感は昨今感じ得なかったものだ。
・・・いや、もう一つ。
” 将臣 ”
口内の空気と共に呟きが身体から離れ上っていく。
そのまま・・・俺の言葉を、地上へ・・・
目を閉じ、闇へ滑り込もうとする意識に、突然引き上げられる腕。
すると急に体が浮き上がるように軽くなった。
肩・胴・腕・脚・・・鎧の重さが消えていく。
あぁ・・・迎えに来たのか・・・兄上。
”行かせるか!”
力の限り手を伸ばし知盛を掴んだ。
手にした愛刀で知盛の鎧を切り外す。
水面までもつだろうか・・・いや、絶対に連れ帰る!
役目を終えた愛刀を手放し、知盛の鎧とともに水底へ送った。
辿り着いた何処かの海岸に知盛を引き揚げ、海水を吐き出させる。
ゴホッと海水を吐き出した姿に安堵するが、意識は戻らないようだ。
地元の人間のものだろう、何艘があるうちの一つに知盛を乗せ海へ出た。
この世界へ飛ばされてから得た知識を総動員し、皆と約束した場所を目指す。
夜の闇に紛れたお陰か、何者にも発見されずに脱した。
「知盛・・・」
船内に寝かせた知盛の様子を伺いに戻ると、息は微かにあるものの身体が冷えきってしまっている。
「っ!やべぇ!」
急ぎ濡れてしまっている身に着けているものを全て脱がし、奥にあった大きな布を掛ける・・・が、そんなことで身体が温まるはずも無い。
「・・・俺、か。」
不意に睦言めいた知盛の言葉が脳裏に響いた。
『お前の肌は、熱いな。』
急ぎ自分も全裸になり、知盛を抱きかかえるとそのまま布に包まった。
冷える夜に人肌で温まるというのは本当に有効なんだと実感した。
自分の熱を知盛に伝えるように、抱き寄せる。
すると知盛が小さく呻き、身体を震わせた。
漸く見えた反応に安堵し、未だ色の戻らない口唇に何度も接吻を落とす。
安心させるように強く抱き寄せ、冷たい箇所を手で擦った。
「意識が戻ったら・・・お前は、俺を怒るか?」
将臣の呟きは、波音に吸い込まれていった。
・・・暖かい。
この熱を、俺は知っている・・・
「・・・ん」
覚醒していく身体が感じたのは人肌の感触。
異常にだるい己の身体。
漸く目を開けると、視界には誰かの身体。
”あぁ、将臣か”と声を出そうとしたが、痛めてしまったのか思うように出ない。
無理に声を出すのは止め、そのまま相手の心音を聞いていた。
トクン トクン トクン
規則正しく繰り返される音。
そしてそれは自分の体内からも聞こえる。
”逝けなかった、か”
悔やんでいるわけでも、後悔しているわけでもない。
あの瞬間、逝けるのならそれも良いと思ったのは間違いではない。
それでも・・・
” ・・・呼んでしまった、か ”
未だに寝息を立てる熱い身体の主。
・・・今暫くは、この熱さに包まれよう。
スリ、と胸に擦り寄ると無意識であろう腕が自分を引き寄せる。
そのまま再び眠りに落ちた。
暗い水底ではなく、柔らかな光が差し込もうとしている場所に。